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落語家

古今亭駒次

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 よく「女子の話にはオチがない」などと言われることがあります。でもいったい、「オチ」って何なのでしょうか。うまくオチのある話をするためにはどうしたら……? オチのある話といえば落語。都内を中心に活動する落語家・古今亭駒次さんに、オチのある話とは何か聞いてみました。

オチっていったい何?

「我々が落語に、いわゆる“オチ”をつけるのは、最後にオチがあることで聞いているお客さんが安心してくださるから。『落ち着く』という言葉があるように、オチがあることで安心や納得するんですね。特に寄席では、次々と落語がはじまりますから、オチを聞いてすっと次に行きたいのだと思います」(駒次さん)

 たしかに、落語で納得感のあるオチを聞くとすっきりした気分になります。では、普段の会話でオチをつけるにはどうすればいいのでしょうか。

「落語でのオチは、相手の想像を裏切るようなオチや、聞いていて爽快に感じるような納得感のあるオチが理想ですが、普通の人ではなかなか難しいと思います。僕もいつも苦労しています。ですので、普段の会話でのオチは、『話したいことの要点に着地させる』という気持ちで考えてみてはいかがでしょう」(同)

 最後まで聞いたときに、何を話したかったかがすっきりわかる話し方をするということですね。「オチをつける」と考えてしまうとプレッシャーですが、「最後に要点を話す」と考えれば少しハードルが下がりますね。

話を分かりやすくするには?

「やはり、要点を絞って話す、ということでしょうね。僕が女性の話を聞いていて思うのは、たとえば『会社の課長がお酒で酔っ払って、階段からこけた』という話をするために、『朝何があって、課長の奥さんが元モデルで……』などと必要がないところまでしゃべってしまうため、『結局、何の話なの?』と思ってしまう。自分で話の要点を分かっていれば、『初めに課長のおっちょこちょいエピソードを振ろう』とか、逆に『ものすごく真面目で完全無欠な人だということを強調してみるくだりが必要だな』とか、『奥さんの話はいらないな』という風に考えることができます」(同)

 まず自分の中で「要点はここ!」と決めれば、その要点にいるかいらないかで、話を整理することができますね。

「話を聞いている相手は、その話がどんな展開になるのかある程度考えながら聞いているものです。一般的に『話にオチがない』と文句を言われてしまうのは、聞いている相手は展開が読めているのになかなかそこに至らないゆえに、やきもきしてしまうからではないでしょうか」(同)

 なるほど。確かに、なんとなく展開が読めているのに、話が長いと聞いている方は退屈です。

オチって必要?

「とはいえ、普段の会話にはオチはなくてもいいんじゃないでしょうか。オチをつけてしまうと会話がそこで完結してしまいます。それだと、女の人のあのエンドレスな会話はできません。僕も落語をつくるとき、無理にオチをつけようとすると話がふくらまず予定調和になってしまう。そういう話はあまりおもしろくないですよね」(同)

 オチにこだわらず、ときと場合によってオチのあるなしを使い分けたいですね。でももし、スピーチなどオチを求められる話のときはどうしたらいいのでしょうか。

「落語家も、これはちょっとオチが弱いなとか、ウケないなと思うときがあります。そんなときは、落としたいところで声を張ったり、表情を作ったりして、お客さんが反応しやすい工夫をしています。また、時間の関係で本来のオチの前で落語を切り上げなければいけない場面もあるんです。そんなとき『冗談いっちゃいけねえ』などと言ってしまうんです。お客さんも『あ、ここがオチだな』と思えば笑いやすい。それでもオチなければ、いっそお辞儀しちゃうとかね(笑)」(同)

 大勢の人の前で話すときほど、わかりやすくオチを提示することが求められるのかも。

 オチを気にしすぎることはないけれど、やっぱりわかりやすくオチがある話は聞いていて楽しいもの。「オチがない」「何を話したいのかわからない」と言われがちな人は、話し出す前に一度、自分が一番話したい要点を確認してみると良さそうです。

(田中結/プレスラボ)
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ライター

田中結

プレスラボ

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