ヒトメボ

「五感プロデュース研究所」主席研究員

荒木行彦

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 映画やドラマを観たとき、小説や漫画を読んだとき、恋をしているとき……。さまざまな場面で、切ない気持ちになって胸がキュンとしたりズキッとしたりすることがありますよね。

 でも改めて考えてみると、どうして「切ない」気持ちは、「嬉しい」とか「悲しい」といった感情と違って、“胸”で感じるのでしょうか? 「五感プロデュース研究所」主席研究員の荒木行彦さんにお話を伺いました。

「切ない」とき「胸がキュンとする」のはどうして?

「人の脳は、切ない気持ちになったとき、脳幹のすぐ外側に位置する大脳基底核と呼ばれる、動作や運動に関わる場所に存在する、尾状核が活発に反応します。尾状核は本能を司る部分であり、理性でコントロールすることはできません。

尾状核が活発になると、幸せなどを感じる愛情ホルモン『オキシトシン』、興奮状態にさせる『アドレナリン物質』が脳内で分泌され、交感神経の働きも活発化します。アドレナリンには、心拍数と血圧が上昇させる作用があります。つまり、切ないと感じることで実際に心臓の鼓動に影響を及ぼしているのです。このことが、切ないと感じたとき『胸がキュンとする』という表現になる理由として挙げられます」(荒木さん、以下同)

 心臓にも影響を及ぼすなんて、人の感情って凄いんですね……。切ない気持ちは、ほかにどんな影響を与えるんですか?

「切ない」気持ちが人の体に与える影響

「恋をしているとき、なかでも片想いや失恋をしたときはこの『切なさ』が長引く状態になるので、食欲減退や脱力感(だるさ)にまで影響を与えるとされています。恋をするとぼーっとしてしまったり、胸がいっぱいで食べ物が喉を通らない……などといった状態も、切ない気持ちの影響だとも考えられます」(同)

 切ない気持ちがこんなに多くの影響を体に与えていたなんて驚きです。

 もし苦しい恋をして、切なくて辛くて苦しくて、どうしようもない状況になってしまったとしても、心と体のメカニズムを知っていれば少しは冷静になれるかもしれませんね。

(冨手公嘉/verb)
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ライター

冨手公嘉

verb

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