ヒトメボ

恋愛科学カウンセラー

荒牧佳代

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク
  • コメント入力フォームに移動する
  • 評価フォームに移動する
読了時間:約5分

 ひと昔前と比べて、近年は「晩婚化」が進み30代後半、40代以降で初婚という人も珍しくありません。それでもやっぱり、女性は25歳を過ぎたあたりから「30歳までには結婚したい」など、「結婚適齢期」を意識する人が多いですよね。そもそも女性が適齢期を強く意識するのは、なぜなのでしょうか?

「出産を意識してのことだと思います。女性には、母子ともに健全な体で正常な出産ができる『出産適齢期』におおよその限界があります。35歳を過ぎてからの高齢出産は、卵巣の機能が低下しますので、卵子の質が下がり、母子ともに出産に関するリスクが高くなっていきます。

そのリスクとして、卵子の染色体異常(ダウン症候群など)や妊娠後の流早産、死産などの発症率の高まり、出産後の新生児の先天異常、その他、妊娠中のむくみや、高血圧、尿タンパクなどを引き起こす『妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)』を招きやすくなる症例もあります。

こうした出産のリスクも、女性が本能的に結婚適齢期ならぬ『出産適齢期』を意識する理由のひとつでしょう」(恋愛カウンセラー/医療アナリスト・荒牧佳代さん)

 結婚適齢期を意識する女性が多いのは、単純に「結婚して早く幸せになりたい」という願望だけでなく、「出産リミット」を見据えてのことだったんですね。しかし、この「出産リミット」は女性だけの問題なのでしょうか?

 「結婚適齢期」と聞くと、つい女性に向けられた言葉のように感じてしまいますが、加齢によって卵子の質が下がるように、男性の精子の質が下がる…ということも考えられそう。

 妊娠に適した男性の「適齢期」は何歳頃なのでしょうか?

「女性の高齢出産のように、明らかなリスクとは言えないまでも、男性も少なからず加齢による妊娠への影響はあります。第一にあげられるのは、精巣機能の衰え。加齢とともに精子数は減少し、質も次第に低下してしまいます。

第二に、テストステロンという性欲を司るホルモンの分泌量の減少です。テストステロンの多い(=性欲旺盛な)若い男性はマスターベーションの頻度も高く、射精によって精子の造成機能が活発化され、精子を新鮮な状態に保てます。しかし、25歳を越えるとテストステロンの分泌量が減少しはじめ、マスターベーションやセックスに対する意欲もなだらかに減退していきます。

さらには30代、40代になると、性欲の減退とともにEDの可能性も上昇。40代以降になると、EDや性欲減退で精子の造成機能が衰え、年齢とともに精子の質が下がる影響から子供への障害リスクも上昇するというデータもあります。こうした理由から、肉体的な観点のみで考えると、29歳までには奥さんが自分の子供を産んでいるのが理想だと言えます」(男性不妊外来「日浦クリニック」院長・日浦義仁さん)

 なるほど。今まであまり意識していませんでしたが、男性にも加齢によって不妊の可能性が高まったり、健康に影響を与える要因があったんですね…。ということは、いつかは子供が欲しいと望むなら、男性も「結婚適齢期」を意識する必要があり、それは20代のうちだと言えそうです。

 とはいえ、結婚や子育てをするには現実的にお金がかかるもの。男女共働きの夫婦も多く、合計所得は高くなっているとは思いますが、30代、40代と比べると収入の少ない20代で結婚して子供を育てるのはだいぶ負担になりそう…。

 経済的な側面で考える男性の適齢期はいくつになるのでしょうか?

「子供を大学卒業まで育て上げるのに、公立中心の進路でも教育費だけで1000万円超かかると言われています。年齢を重ねてから結婚したほうが、経済的に余裕が持てるかもしれませんが、人生を長期的な視点で見ると、結婚年齢があまりに遅くなるのは決して得策とは言えません」(ファイナンシャルプランナー・豊田眞弓さん)

 それはなぜでしょうか?

「子育てが終わってから定年退職するまでの間に、ある程度年数がないと老後資金を準備することが厳しいからです。リタイヤ年齢を仮に60歳ないし65歳とし、その後は年金生活とした場合でも、退職金を含め3000万円は残してセカンドライフに入りたいもの。

例えば、結婚や出産が40歳前後だったとします。結婚後に30年ローンを組んで家を買ったとすると、住宅ローンの繰上返済、子供の教育費、老後資金の準備を同時に進めなければなりません。

しかし、実際は、教育費と住宅ローンの繰上返済に追われ、老後資金を貯金する余裕はないでしょう。この場合、60歳、できれば55歳までに住宅ローンを払い終え、さらには教育資金の準備も終えて、残り5年で老後資金を準備するのがベストなプランだと言えます。ですから、総合的にライフプランを見据えて考えると、30歳前後までに結婚して、35歳までに子供を産むのが一つの理想の形だとは思います」(豊田さん)

 リタイヤ年齢が上がってきているとはいえ、年齢を重ねてからの結婚は、肉体的要因だけでなく、将来のマネープランにもいろいろな影響を及ぼすことが考えられるのですね。

 今回は年金有り、60歳ないし65歳でリタイヤを例として考えましたが、肉体的、経済的な理由のみで考えてみると、男性の「結婚適齢期」は30歳がベストと言えそうです。もちろん、幸せな家庭を築くには年齢以外にも大事なことがたくさんありますが、結婚を考えるひとつの目安にしてみてはいかがでしょうか?

(冨手公嘉/verb)
  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク

評価

ハートをクリックして評価してね

評価する

コメント

性別

0/400

comments

すべて見る >

ライター

冨手公嘉

verb

あわせて読みたい