ヒトメボ

「五感プロデュース研究所」主席研究員

荒木行彦

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 お酒が入るとなんとなく気持ちが緩んで、注意力も散漫になるもの。異性へのガードも甘くなり、そのまま一夜限りの関係になったという例もチラホラ…。これって、酔って気が大きくなっただけ? それとも…? 「お酒」と「性欲」にはなにか因果関係があるのでしょうか?

「お酒を飲むと、大抵の場合は『美味しい』、『楽しい』と感じますよね。これらの思考状態になったとき、交感神経の働きから心拍数が上昇し、快感物質であるドーパミンが分泌されます。それによって気分が高揚すると、脳の『視床下部』という部分が刺激されます。これがまさに、食欲や性欲を司っている部分。視床下部が活性化されることで、性欲が高まるのです。また、性欲中枢と食欲中枢は視床下部の中でも隣りあった場所にあるため、どちらかが満たされるともう一方の欲求は減るとも言われています」

 と教えてくれたのは、「五感プロデュース研究所」主席研究員の荒木行彦さん。お酒を飲んで、ただ気が大きくなるというわけではなく、脳が刺激されることで性欲も高まっているとは驚きです。それにしても、食欲と性欲を司る部分が隣って、2つの欲求には密接な関係があったんですね。

 さらに驚くべきことに、世界で最も権威のある科学雑誌「ネイチャー」に発表された研究によると、女性はアルコールを摂取すると性欲が高まるのだとか。

「これはテストステロンと関わりがあります。男性ホルモンのテストステロンは、じつは女性の体内でもごく少量分泌されているのですが、アルコールを摂取することにより女性の体内ではテストステロンの生成量が増加します。すると、女性でもいわゆる肉食的なモードになることがあります。もちろん個人差も大きいので、お酒が必ずしも直接、性欲に繋がるわけではありません。

 また、女性の性欲が高まるのには、女性ホルモンの周期とお酒を飲むタイミングも関係しています。女性は排卵期になるとプロゲステロンを分泌し、子宮壁を柔らかくして卵巣に卵子を付着しやすくするのですが、この『受精しやすい状態』が、『男性を受け入れたくなる時期』とイコールなのです。ですから、この時期に女性がお酒を飲み、ほろ酔い状態になると、必然的に男性に抱かれたいと感じるのです」(荒木さん)

 女性の場合、生理前にお酒を飲むとハメを外してしまう恐れがあるってことかも…。お酒の力が恋愛にプラスに働けば嬉しいけれど、やっぱり飲み過ぎは禁物ですか?

「そうですね。いくら美味しいからといって、飲み過ぎはNG。お酒の量が多すぎると脳細胞にダメージを与え、性欲を司る『視床下部』はもちろん、短期記憶を司る『海馬』なども正常に働かず、セックスどころではありません。千鳥足になるくらいまで飲んでしまうと性欲は逆に抑制されてしまいますから、このようなお酒の飲み方をしないことが一番ですね」(同)

 やっぱりお酒はほどほどが一番ということですね。…そういえば、男性は「お酒を飲むと男性器が機能しなくなる」なんて言いませんか!? 酔って性欲は高まっているはずなのに、肝心のカラダが言うことをきかないなんて…。このメカニズムって、どうなっているんでしょう? 気になる謎は続編で解明したいと思います!

(池田香織/verb)
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ライター

池田香織

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