ヒトメボ

心理学研究家

栗原典裕

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 話し方や雰囲気など、その人の性格を計るために人は様々なところを観察しています。その際、「体型」で性格を判断することってありませんか? 例えば、「太っているから優しそう」、「痩せ過ぎていて神経質そう…」など。特に初対面のときには、体型は相手を計る大きなヒントになっていると考えられます。

 事実、著名な心理学者エルンスト・クレッチマーは多くの臨床事例を通じて、体型と気質・性格に関連性があるという体型性格理論を発表しています。この「クレッチマーによる体型分析」は、心理学の世界ではよく知られている理論ですが、具体的にはどんなことが分かるのでしょうか。クレッチマーの理論をベースにした性格診断を取り入れている、青山コミュニケーションセミナー代表の栗原典裕さんに伺いました。

「クレッチマーは、人間の体型を大きく『細長型』、『肥満型』、『闘士型』の3つに分け、それぞれの気質に傾向があることを説きました(以下参照)。気質とは、人に生まれつき備わった個人の生理的特徴を基礎とした、行動の特徴、感情の傾向のことです。

細長型…分離性気質:オープンな交際よりも、一部の人と親しく付き合う傾向がある。また、神経の細やかな面を持つ。

肥満型…循環性気質:社交的で親切、温和で世話好き、一般に陽気で活発でユーモアに富む。ただし、心配事があると、すぐに落ち込むなど、気分の変化が激しい。

闘士型…粘着性気質:ものごとに堅実に対処し、慎重で几帳面。融通がきかないところがある。また、比較的感情の変化が少なく、粘り強い傾向がある。

人は、これらの気質と周囲の環境によって影響を受けながら作られる『性格特徴』を持ち合わせています。性格特徴は、表面に出やすく、自分でコントロールできます」(栗原さん)

 なるほど。でも、人の体型って変わりますよね。そうすると、気質も変わるってことでしょうか?

「いえいえ。これはあくまでも傾向ですので、必ず『細長型=分離性気質』ということではなく、分離性気質の人には細長型の人が多いという考え方です。ただ、私自身、企業の人事部の経験があり、多くの人と出会ってきた結果からも、この傾向はかなり正確なものだと思っています」(同)

 栗原さんによると、上記の3つの気質に加え、「循環ー分離性気質混合型」などの、2つの気質が混じり合う人もいるようです。やっぱり、体型と性格って関係しているんですね。ということは、人を見るときだけでなく、自分にも応用できるってこと? これって何かに活かせるんですか?

「自身の気質や性格特徴を知ると、自分の弱点が見えます。その反対のことを実践していけば、対人関係や仕事に役立てることができます。例えば、循環性気質の人であれば、好不調の波が激しい傾向があります。自分よりも相手に合わせるタイプなので、営業職などで力を発揮する人が多いですね。また、分離性気質の方は交友関係が狭くなりがちなので、積極的に色んな人と関わっていった方がいい。粘着性気質では、じっくりと慎重な姿勢がある一方、自分を無理にでも押し通そうとする傾向があります。こうした傾向を自覚しているだけでも気持ちは楽になりますよね」(同)

 栗原先生のセミナーでは、クレッチマーの気質分類をベースにした心理テストを使って実際にその人がどの気質なのかを見るそうです。早速、やってみたところ「循環性気質」という結果に。体型が肥満型なので、確かに「肥満型…循環性気質」に該当している! 気分の変化が激しいところをはじめ、確かに当たっています。みなさんも、ぜひこの機会に自分の気質について考えてみてはいかがでしょう。新たな自分の一面が見えるかもしれません。

(船山壮太/verb)
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ライター

船山壮太

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