ヒトメボ

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク
  • コメント入力フォームに移動する
  • 評価フォームに移動する
読了時間:約5分

 突然ですが皆さん、この数字の意味が分かりますか?

084- 101052160[7 ]03106 864107

 解読できた人は、もしやポケベル世代では? 現代っ子の読者に説明すると、実はこれ「ベル文字」。当時の恋人たちの間で交わされていたメッセージなんです。

 20代後半から30代の人たちにとって、青春時代を思い出すアイテムのひとつが「ポケットベル」(※以下ポケベルと表記)。アラサー筆者も、まさにポケベル世代のひとり。そこで今回は、当事者には懐かしく、現代っ子には不可解(かも?)なポケベルブームを振り返ってみました!

数字を使った文字遊びがブームに!

 もともと、呼び出し音を鳴らしたり電話番号を表示したりするだけのシンプルなサービスだったポケベル。ところが、数字を語呂合わせしてメッセージを送ることが女子高生を中心に大流行!「0840(おはよう)」程度ならかろうじて読めそうなもんですが、文字数制限いっぱいに使った冒頭のような長文となると……今となっては、もう暗号にしか見えません。(当時は読めていたんですけどね)

【ベル文字:例】

0840(おはよう)

0833(おやすみ)

3470(さよなら)

724106(何してるかな)

14106(愛してる)

そして、ひらがな、英語、記号も送れるように!

 その後さらにポケベルの機能は向上し、入力した数字を、ひらがな、英語、記号に変換して表示できるサービスへと進化していきます。そこで登場したのが、それぞれの変換数字を一覧にしたメモ状の変換表、通称「ベル表」。

【ベル表:例】

あ=11(最初の数字が行、二番目の数字が段)

い=12、う=13、え=14、お=15

か=21、き=22、く=23、け=24、こ=25

515232449367

(なにしてる?)

 …といった感じに、ベル表を見ながら割り当てられた数字をプッシュしてメッセージを作成。公衆電話の前でプッシュボタンを連打する女子高生の姿をよく見かけたものでした。今の携帯メールのように自分では入力内容を確認できなかったので、うっかり数字を打ち間違えると謎の文章に変換されることも日常茶飯事。筆者の友人も当時の彼から「ケホマー」、「ンー&ロー」など、エキセントリックな怪文が届いていました。そんな珍事も今となってはいい想い出です(笑)。

ポケベルあるある

【*2*2】

 当時、「ドコモ派」(NTTドコモ)と「テレメ派」(テレメッセージ)と2つの派閥にユーザーが分かれていたポケベル。テレメ派にメッセージを送る場合は、最初に「*2*2」、終了するときは「♯♯」を押すのがルールであったため、「こめにーこめにー」と呪文のように唱える現象が電話機の前で起こっていました。

【胸ポケにチェーンクリップ】

 制服の胸ポケットにポケベルを入れて、銀色のチェーンクリップをポケットからチラ見せするのが当時のイケてたスタイル。「私、ポケベル持ってます!!」のサインでもあり、筆者もポケベルデビューを果たした即日、さっそくマネした記憶が…(恥)。

【公衆電話に大行列】

 学校の休み時間には、校内の公衆電話に長蛇の列が! 授業が終わるとみんな一斉に電話へとダッシュして、他校の恋人や友人にベルを打ったものでした。なかには、同じ学校にもかかわらずメッセージを送っている人もいました(直接話せばいいのに)。

【偽造テレホンカード】

 メッセージを送るために必需品だったのがテレホンカード(通称:テレカ)。この頃、「偽造テレカ」(通称:偽テレ)なる違法のテレカも流通し社会問題に。通常のテレカの価格が1枚500円~数千円だったところ、銀色のテープが貼られた怪しげなテレカは10枚1000円程度で売られていました…。

【高速打ち】

 北斗神拳ばりの超高速タイピングでメッセージをダイヤルすること。「ベル打ちが早いほどかっこいい(使い慣れている)」という風潮があり、「高速打ち」ができる学生は校内でも神的存在として崇められていました。

【ベル友】

 適当なベル番号を押して、見知らぬ相手にメッセージを送る「ベル友」ブームでは、そこから恋愛関係に発展するケースも珍しくありませんでした。また、そもそも交際を目的とした「ベルナン」も存在!

「ダレ?」→「オンナ?(オトコ?)」→「オンナ(オトコ)ダヨ」→「ナニシテルノ?」…

 と、レスがきたらまず初めに性別確認からスタート。現代っ子は、たとえ出会い系サイトであっても一応は写メやテキストで相手が誰かは分かっているはずですが、ベルナンの場合は、「相手が男か女か」がファーストステップ。男性が男性にメッセージを送ってしまうと「シネ!」「コロスゾ」と返ってくることもあったとか…(コワイですね)。

 ポケベルブームの最盛期は1990年代中盤で、NTTドコモの発表によると、契約数のピークは1996年6月で649万件だったといいます。その後、PHSや携帯電話の普及で急速に契約数が減少し、2007年3月31日にはNTTドコモでのサービスを終了(ちなみに、PHSもまた2008年1月7日に終了)。あらためて無くなったことを知ると、ユーザーだった身としてはちょっと寂しい気も…。

 当時の若者たちにとっては今の携帯電話に匹敵するほどの必需品であり、恋愛にも欠かせないツールだったポケベル。もし20代後半から30代の恋人がいるなら、文字にしづらいメッセージや告白をあえて今、ベル文字で送ってみるのも面白いかもしれませんね!

…正解は、

(おはよー いまどこにいるのかな?これみたらベルしてね)

(坂井あやの/verb)
  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク

評価

ハートをクリックして評価してね

評価する

コメント

性別

0/400

comments

すべて見る >

ライター

坂井あやの

verb

あわせて読みたい