ヒトメボ

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 デートの約束はメール。遅刻するときもメール。待ち合わせ場所は決めずに、現地に着いたら電話。どこに行くかはネットで検索。恋愛の始まりにおいてもSNSなどネット上で男女が出会う手段が増えたり、今の時代の恋愛に携帯電話とインターネットは密接かつ不可欠なものとなりました。

 では、携帯電話が普及する以前の時代の恋人たちは、どのようにデートの約束や待ち合わせをしていたのでしょうか? そこで、今年の新成人たちの親世代に当たる、現在40代の男性3人に当時の恋愛模様をお聞きしました。

 友達の紹介や学校や会社以外で、異性と出会う方法はあったのでしょうか?

「今もあるかもしれませんが、『異業種交流会』という名の合コンがありましたね。表向きは『勉強会』でしたが実際は大学のサークルノリで、そこそこ名の知れた企業に勤めている人が幹事になっていろんな業界の人を集めて男女が仲良くなる。そこでまたスキーサークルみたいなものができたり」(S.Aさん・48歳/出版社勤務)

「当時『じゃマール』(※1)という雑誌があって、そこに恋人募集の投稿をする人もいましたね。自己紹介内容や好みと、年齢、住所、名前が掲載されていて、読んだ人が直接そこに連絡する…っていうスタイルだったと思います。今思えば個人情報丸出しで、その辺の取り扱いも緩かったな~と思いますね」(K.Hさん・44歳/IT会社勤務)

 今に置き換えると、「異業種交流会」は「合コン」。「雑誌投稿」は「SNS」になり変わった…というイメージでしょうか。では、「出会い」以降はどのようにアプローチしていたの?

「知り合ったら電話番号を聞くのは鉄則でした。もちろん携帯なんてないので、直接家に電話。ひとり暮らしの子でも必ず電話は持っていたし、実家の子でも自宅の番号とは別に自分の番号を持っている子もいましたよ。当時は電話を引くのに20万円くらいかかったので、電話ローンなんてものもあったほど」(S.Aさん)

 ―20万円もっ!? 今じゃ考えられませんね。でも、例えば当日デートに誘いたいときはどうしてたんですか? 日中は自宅も留守ですし…。

「当日のアポは会社に電話してました。私用電話が会社にかかってくることなんて、しょっちゅうでしたね。社内の人たちもお互い様なので、それとなく繋いでくれてましたよ。影で何言われてたかわかりませんが(笑)。呼び出すときは『○○社の××ですが』と取引先を装って電話してました」(T.Kさん・46歳/電機メーカー勤務)

「でも基本的には、前回会ったときに次回のデートの約束をすることがほとんどでしたね」(K.Hさん)

「そんな時代だったので、女性と恋愛関係がもつれたりすると泣きながら会社に電話がかかってきたりとか、トホホな事態もあったな~(笑)」(T.Kさん)

 では、デートの約束をこぎつけた次はデートコースの計画。ネット検索なんてものがない時代の情報収集はどのように?

「『東京Walker』はよくチェックしましたね。流行りの店とかニューオープンのお店とか。まだバブルの影響が残っていたのでイタメシブームは継続中でした。場所は銀座、六本木、青山が人気でしたね」(T.Kさん)

「雑誌と言えば『POPEYE』や『Hot-Dog PRESS』(※2)の女の子特集も熱心に読んでました。どうすれば女子にモテるかや、エスコートの仕方とか紹介されていて、そこそこ流行やモテに興味ある男性はほとんど読んでいたんじゃないでしょうか。ホイチョイ・プロダクションズの『東京いい店やれる店』的なデート指南書も人気でした」(S.Aさん)

 今回の話の舞台となっている時代、30代の筆者はすでに生まれていましたが、90年代の大人の恋愛スタイルには驚きの連続! ネットで簡単に情報が手に入る現代と比べると、出会いからデートの計画まであらゆる手段と時間を使って恋愛にパワーを注いでいたことが伝わりますね。

(注釈)

※1「じゃマール」/リクルートの子会社(当時)である「株式会社リクルートフロムエー」が発行していた個人間情報交換誌。個人間売買情報を取り扱う部分と、不特定人物との出会い(友達、サークル仲間、交際相手など)部分をメインに構成されていた。2000年3月に休刊。

※2「Hot-Dog PRESS」/若年男性を読者とする情報誌として1979年(昭和54年)に講談社から創刊され、その後のバブル期にかけては、いわゆる「デート・マニュアル」として人気を得ていた。

(坂井あやの/verb)
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ライター

坂井あやの

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