ヒトメボ

弁護士

猪瀬秀美

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読了時間:約3分

 別れた恋人の裸の写真や動画をネットに流出させる嫌がらせは、「リベンジポルノ」と呼ばれて問題になっています。でも、恋人時代についHな写真を撮らせてしまった…という経験がある人も少なからずいるはず。そもそも別れた以上は他人なので、そうした写真を所有されているのはなんだか…。東郷法律事務所の猪瀬秀美弁護士にお聞きしました。

強制的に捨てさせることは難しい!?

「別れる際に『消して』とお願いするのはもちろんですが、それでも消してもらえない場合もあるでしょう。“元カレが自分で見て楽しむ目的”では、撮影を許していることになるので、写真などを強制的に捨てさせることは難しいかもしれません。ただし、“ばらまき”をほのめかすようなことを言う、消去するかわりに金銭を要求する、などの行為があれば、脅迫罪・恐喝罪に問える可能性もあります」(猪瀬さん)

 なるほど。無理に捨てさせることはできないけど、“ばらまき”さえしなければ、何をしてもいい(法的な責任が発生しない)というわけじゃないんですね。

 では、(そうならないことを祈るけど)ネットにHな写真をばらまかれてしまったら、どんな対処ができるんですか?

もし、ばらまかれてしまったら?

「個人的に撮ったポルノ写真は、女優さんが出版用のヌード写真を撮影したり、映画で裸になったりするのとはまったく違います。あくまで個人的な楽しみのためのものであり、通常は公開を予定してはいないからです。そのため、元カレがその写真を他人に見せたり、ネットなどで公開したりした場合は、目的の範囲外。肖像権・プライバシー権の侵害や名誉毀損として、民事的な責任を取らせる余地が十分にあります。

具体的には、ネット上の写真等の掲載について差止・削除請求や、損害賠償請求をしていくことが考えられます。事案はまったく違いますが、“名誉毀損”による損害額として数百万円を認めた裁判例もあります」(同)

 元カノのHな写真を“元カレが自分で見て楽しむ”以外の行為は、法律的に許されないとのこと。猪瀬さんによれば、刑事事件に発展することもあるそう。

刑事事件に発展することも…

「刑法上のわいせつ物頒布罪(2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は懲役及び罰金を併科)・名誉毀損罪(3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)、さらに女性が18歳未満だった場合は、児童ポルノ法違反(同法7条4項、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科)となる可能性があります。

ネット上にばらまかれた写真を入手した第三者がさらにその写真をばらまいた場合、その第三者にも刑罰が科される可能性がありますので、男性もうかつな行動は避けたほうがいいでしょう」(同)

 軽い気持ちでアップした写真が、5年の懲役と500万円の罰金になることも…。しっかり重い罪が科されるようです。けれども、それが女性の精神的な傷に見合うほどのものかは疑問です。

 Hな写真は、無理やり撮られたものではない以上、捨ててくれるようにお願いして、あとは元カレの良心を信じるしかないようです…。

 別れた後にイヤ~な思いをしないためにも、撮影するならくれぐれも慎重に。もし心配なことがある場合は、恥ずかしいなんて思わずに、早めに弁護士さんに相談するのが得策かもしれませんね。

(小倉杏)
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ライター

小倉杏

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